言の葉大賞で育む教員の声

『言の葉大賞®』は、学校教育の現場でその教育的意義が理解され、授業や夏休みの課題として積極的に取り組んでいただいております。
第12回作品応募時に小・中・高校・大学のご担当教諭からいただいたご意見をご紹介いたします。

小学校 教員の声

GIGAスクール化がうたわれ、子どもたちの前には紙と鉛筆にかわり、タブレットが置かれるようになりました。時代に合わせた大切な学び方です。しかし、鉛筆を握りしめ、手の側面を真っ黒にしながら言葉に浸る時間は、かけがえのないものだと思っています。今回、書くことに慣れていない子どもたちを目の前にし、「道」という課題は少し高いハードルのように思っていました。単元を始めていくと、私の予想を裏切り、子どもたちはじっと言葉と向き合っていました。鉛筆と紙が、私に子どもの可能性を信じる道を照らしてくれました。

(京都府)

今回、初めて取り組んでみました。一つの言葉から、イメージマップを作り、想像を膨らませてから書き始めました。「道」という言葉から、こちらが思っていたよりも、色々なイメージを子どもたちは持っていました。さらに、同じ「道」から生まれたイメージでも、言葉によって意味の深いものがあると気がつくことができました。普段の授業でも言葉を大切に学習を進めていますが、作文に取り組む機会がなかなかないので、良い機会となりました。

(静岡県)

夏休みの課題として、取り組ませていただきました。応募があったのは、特別支援学級の2年生1名のみでした。言葉が持つ力について、自分なりに考えて書きました。テーマに沿って書くことは難しかったようですが、一生懸命に書きました。

(宮城県)

「道」というテーマで、二分の一成人式をむかえる4年生の子どもたちが書くことで、今までのふりかえり、そして、未来への目標、夢を改めて考えることができました。自分にとって考えることができるテーマだったので、文章を書くことが苦手な子どもも、書き進めることができたと感じております。指導者としての課題も見えました。

(大阪府)

昨年度まで勤務していた小学校で取り組ませていただいてました。子どもたちが“言葉”に向き合い、感じたことを“言葉”で表現する、すばらしい取り組みであると思っています。本年度で本校は統合のために閉校します。さみしさや悲しさなど、様々な感情を子どもたちは抱えながら学校生活を送っています。そんなタイミングで、子どもたちに、これからの道、そしてこれまでの道を考えさせることのできる非常に良い機会となりました。

(京都府)

今回初めて応募します。取り組んでみて、本当によかったと思いました。子どもたちはテーマにそって作文するという活動に驚いていました。「作文が嫌い」という子がたくさんいました。皆不安げでした。ところが、いざ取り組むと自分の世界を自分の言葉で書き始めました。日頃の授業では見られない姿もたくさん見られました。改めて「紙に書く」ことの大切さを知りました。有難うございます。

(愛知県)

言の葉大賞CONCEPT BOOKを拝見したことがきっかけで、子どもたちにも取り組ませたいと思い、4年生以上の学年に呼びかけました。「全国的な作文コンクールに挑戦してみよう。」をタイトルに、募集のチラシを製作しました。校長の突然の呼びかけに6名の子が応募してくれました。読んでみると、本当に子どもの感性にはびっくりします。あまり指導はしていませんが、思いのつまった作文だと思います。

(宮崎県)

教員になって10年以上たちましたが、一度でいいから、クラスで取り組み、応募してみたいと思ってきた「言の葉大賞」です。この度、タイミングに恵まれ、実施することができました。漠然としたテーマが好きです。キーワードから広がる世界観を一つの文章の形にしてまとめられた喜びを、子どもたちも味わえたものと思います。

(静岡県)

中学校 教員の声

エッセイを書くという活動は今まで経験が無かったという生徒も多く、題材探しに苦労していたようでした。しかし、ひとりひとりが自分のこれまでの経験をふりかえり、文章にしていたので、そのような意味では良い経験になったのではないかと思います。また、手で文字を書く機会が減った昨今、手書きで800字を書くということに緊張感を覚えた生徒も多かったようです。継続して「手で書く」ということを意識させることができるように日々の教育活動を行っていきたいと思います。

(広島県)

コンクールへの出品を目標として生徒に作文を書かせたいと考え、今回初めて中学全学年で取り組ませていただきました。様々な解釈ができるテーマに魅力を感じました。作文が苦手な生徒は内容も字もひどく雑で、どうすればもっと前向きに文を書くことを楽しんでくれるか、私自身の課題に感じました。ただ書かせるだけではいけないと思いました。また来年も挑戦させていただきたいです。

(東京都)

貴コンクールへの作文は、読書感想文のように粗筋なぞりや回り道がなく、ストレートに自分なりのサブテーマを導入に置くものが多く、学習活動にも良い成果を反映させてくれます。字数やメインテーマの適切さが効果を発揮しているのでしょうね。

(佐賀県)

過去の受賞作品を読んで感動しました。言葉のうつくしさを大切にできる生徒たちを育てていきたいと思います。

(岐阜県)

書く練習量が少ないので文章はつたないのですが、思いを気張らずに書く経験の機会としてはありがたいと思っています。正確で学術的な知識を習得することは、学びとして必要なことは言うまでもありませんが、想像力を働かせて、思いを形にする(絵にする・文章にする・スピーチにする)こともまた、人らしさの形成には必要だと思っています。夏休みという時間の中で、ふと時を止めて、自分のことをあれこれと想像することは意義があると思います。言の葉大賞への挑戦は、思いを形にする上で、よい機会を与えてくださっていると思い、課題の中に入れています。

(静岡県)

毎年、多くの生徒が「言の葉大賞」に興味をもち、応募させていただいております。毎年テーマが、自分の未来のことを考えさせてくれるものなので、書いた生徒たちは生き生きと文章を書いてくれます。やはり、悩みをかかえる子どもたちでも、未来を良いものにしたいと努力し、夢を持ちます! それを文字化する機会を与えてくださり、ありがとうございます! コロナ禍ではありますが、このような機会があり嬉しい限りです。

(埼玉県)

毎年、すばらしい作品集をありがとうございます。テーマにいつも心打たれます。本コンクールの応募を通して生徒は自身の内面と向きあい、内にある何か大切なものを見つけることができるようです。私の指導する部活の生徒も課題作文として本コンクールの「道」を選び、身近な道と人生の大きな道とをつなげて考えており、これほど内面を掘り下げることができるテーマに感銘を受けました。

(鳥取県)

中学生の、挑戦しようという気持ちや向上心を後押ししてくださる「言の葉大賞」に今後も期待いたします。

(高知県)

「テーマ」と「自分」を比べることで、新たな考えを導き出すことができていた。マッピングをしたり、構成を考えたり、どのように書くのかも工夫しながら作成することができた。とても意欲的に取り組むことができた。賞がもらえなかったときにも、何かしらフィードバックがあると生徒自身の意欲にもつながるので、授業で扱ったりコメントをするなどしている。今後も活用していきたい。

(愛知県)

高校 教員の声

コロナ禍で多くの活動が制限されるなか、自分啓発の場がどうしても必要でした。今回の題「道」を提示した際に、生徒からの声は「どんな道について書けばいいのですか。」という率直なものばかり。一言、「好きな道について書きなさい。」と。集まった作品は深いものばかり。一つ一つを読む予定はなかったですが、見入ってしまう内容でした。特に自分の人生を振り返る内容は奥ゆかしさがありました。多くの言葉の中からまたすばらしい作品がみつかるのをとても楽しみにしています。

(宮崎県)

部活動で取り組みました。コロナ禍で部活動がなかなか行えない状況でしたが、何かに取り組みたいという生徒が数人いて、特に今回の「道」という言葉に惹かれたようです。過去から未来のことへ思いを馳せ、拙いながら自分の思いを表現したようです。

(福岡県)

「道」という語から、マインドマップで、発想を深め、それぞれが「道」から連想されることを文章で表現しました。字数が800字と、それほど多くなく、文章を書くのが苦手な生徒も書きあげることができました。来年も企画を楽しみにしています。

(岐阜県)

多角的な視点で考えることのできる言葉をテーマに作文を書かせたのは初めてで、正直、これほど作品を書いてくると思っていなかった。大学受験の小論文対策にもなりそうだ。毎年これからは夏休みの課題として取り組ませたい。

(鹿児島県)

本校では、これまであまりエッセイなどの文章を書かせる機会がなかったのですが、今回は夏休みの課題としてチャレンジしてみました。テーマが言葉として抽象的なため、その言葉のイメージをそれぞれふくらませるところからスタートすることができ、生徒が言葉について考える良い機会にもなりました。また、過去の入賞作品が公開されているので、生徒たちが上手な文章に触れることができ、苦手な子もイメージしやすく、モチベーションにつながったようでした。これを機に、次回は対象をさらに広げることも検討したいと思います。

(福岡県)

夏休みの宿題として生徒に課しました。高校生が自分の思いを表現するのに800字は取り組みやすかったようです。教員として思いがけず、生徒の胸の内をのぞいた気がしました。前年の「壁」に続き、今回の「道」というテーマもそれぞれの視点から書ける自由度と手がかりのある非常に適切なことばで、感嘆しています。

(香川県)

大学に勤務している知人より言の葉大賞を教えていただきました。進学校の高3ということもあり、任意の課題にしました。3人が夏休み明けに書いて提出してくれましたが、その中の1人の生徒の文章に大きな感銘を受けました。不登校の生徒であり、2回しか出席していない生徒であったからですが、その内容に感動したからです。今回、3人ではありますが、真摯に向きあい「道」というテーマについて考察して書いてくれたことに喜びとこのような機会を与えて下さったことに感謝致しています。

(兵庫県)

昨年度に続き、今年も応募させていただきました。昨年度入賞した生徒が2名おり、年度末にその2名の了承を得て、作品を印刷し生徒に配布しました。その後どこがおもしろいかを自分達で考えさせ、共感を得る文章とは何かを考えさせる授業を設けました。その甲斐あってか、今年は昨年よりも自分の気持ちを素直に文字へ託している生徒が多くなった気がします。文章に目を通しても視点が多様化されており、1年経って生徒の視野が広がったように感じます。やはり「想いを文字でつむぐ」ということが生徒の内面に良い影響を与えると実感できました。来年は3年生なので参加は難しいですが、この良い経験を他学年にもしてもらいたいので学校で参加できるようにしていきたいです。

(愛知県)

今夏の長期休業中課題として取り組ませましたが、生徒達はそれぞれに「道」という言葉の意味を考えながら書いていたようです。紋切り型の読書感想文と違い、さまざまに想像力を膨らませながら書いているように見受けられ、生徒の主体性へも良い働きかけができたように思います。

(北海道)

毎年応募させて頂いています。今回は「道」というテーマで、生徒たちはあれこれと思いをめぐらせて、いろんな内容の作文を書いています。良い道、悪い道など見方はいろいろありますが、道こそ個性であり、将来を見るか、過去を振り返るかで、多様な世界を見ることができました。生徒たちの育ってきた環境、今を生きている環境、環境に左右されていることもわかりました。分かれ道にさしかかっている生徒は高校3年生になって、どのような道を選択するか今からわくわくしている教員の一人です。

(広島県)

大学/専門学校 教員の声

学生の作品を初めて応募させていただきます。取り組んでみて、学生がいかに「手書き」をする機会が減っているか、愕然とする思いでした。今回は添削を一切していない提出されたままの作品で応募させていただきます。これを機に授業で取り上げ定期的に応募ができる体制がつくれればと考えております。

(東京都)

毎年興味深い課題をありがとうございます。学生は就活を行うとき、エントリーシートを前にして、「言の葉大賞」へのエッセイを書いた時の自分を思いおこすようです。自分を確認する作業は、困難がともないますが必要なことです。その貴重な機会を与えていただいているのだと思います。

(兵庫県)

本学では1年生前期に「キャリアベーシック」という科目において、大学生としての学びの基礎を身につける授業として指導をしています。毎回400文字の作文を課題としている中で、最終課題に「言の葉大賞」への応募を試みました。過去の受賞作品は教材としても活用させて頂き、本当に良い機会だと思いますので、今後も継続されますことを願います。

(大阪府)

昨年度は、ゼミ生の入賞および学校賞をいただきありがとうございました。最初は軽い気持ちで「応募することに意義がある」と応募させていただいておりましたが、このたび賞をいただきまして、学生にとっても私にとっても、大きな励みとなり、ひとつの自信につながりました。おかげさまで、今となってはゼミでの恒例行事として定着しました。

(福岡県)

一度発した言葉の修正はなかなか難しいものです。だからこそ考えて伝えるこのような場があることが有り難いと思っています。ICTの導入で人差し指ばかりを動かす学生達が、五本指を使って手書きしてくる言の葉の作文は私にとっても楽しみのひとつとなっています。

(北海道)

2017年から言の葉大賞冊子を読ませていただいています。特集内容が大変興味深く、考えさせられる内容ですし、この取組みにも共感しております。今後も私どもに刺激を与えて下さることを楽しみにしております。感染下の遠隔授業で学生に思いも伝えづらく、学生も苦しい日々を送っております。日本語表現の科目でこの取り組みを紹介し、提案したところ挑戦しようということになりました。内容はその苦しさを伝えるものが多く、日本語の文章としての深みはさほどでもありませんが、一人一人の思いを文字にする機会を与えていただいたと感謝しております。

(北海道)

学生たちの様々な想いがことばに表現される貴重な機会をいただき、ありがとうございます。パソコンや携帯電話ではなく、自筆で書くことも自己表現や自分に向きあう貴重な機会になっているように思います。

(愛知県)